上州屋に飾られた2つのOZ作品「ほどく-hodoku-」と「のぞく-nozoku-」。
作品の素材となっているのは、土蔵の瓦を葺き替える際に除去された土である。既に100年以上の年月を経たその土に新たな息吹を灯したのだ。
物質に拘りその地に宿る力を作品に昇華するプロセスは、OZが長年追求し続けている万物に秘められた“何か”を表現した現時点での一つの答えなのかもしれない。
2023年6月からひと月に渡り「OZ展 海野宿変様」を開催した。
上州屋では公開制作を実施。海野宿で採取した葉や木々を使用した作品を発表し、大きな反響を得た。

カフェスペースでは実際に製作されたガラス作品を器にカフェのメニューを楽しむことができる。店舗の内装はご夫婦のDIYによるもので、古民家ならではの柱や梁を活かして作られた空間はとても落ち着いた雰囲気を醸し出している。一つ一つ作家の手によって作られたガラス作品を手に取り、ゆっくり過ごす時間は、自ずと癒やしの時間を運んできてくれるだろう。
上州屋では、街道側玄関のポーチライトとガラスコップなどを使用している。ポーチライトは昼夜の表情が異なり、ガラスの中に広がる世界が覗ける。

28LABOの提案する、造園の一つに、「山採りの雑木」を使った自然な庭づくりがある。
自然の中で育つ樹木は、ほっそりとした繊細な姿で、従来の株立ちの育成物と比べて、スペースをとらないことや、より自然な雰囲気が出せるのが特徴だ。
自然本来の「雑木の庭」をつくるために、樹木だけではなく、その足元に育つ草花や土からデザインし、総合的な空間、環境をデザインする。
樹木の個性に合わせて環境を整えることで、自然本来の美しさを最大限に引き出した造園は、豊かで美しく、どこかホッとする景観が最大の魅力だ。
上州屋のアプローチ、植栽、水風呂の石畳を担当。上州屋の狭い空間の中で丁寧かつ独創的な表現は、誰もがため息をついてしまうはずだ。

地元である東御市に本施設である上州屋をオープンする。「海野宿を後世に残す」をビジョンに掲げ、古民家を蘇らせるべく、解体からコンセプト設計、空間デザインを担当した。古さと新しさが共存し、少し不便でも居心地の良い空間を提供する。
また、クラウドファンディング「ときをほどく図書館プロジェクト」では開始後約３週間で達成した。
上州屋を通じて出会う方々、アーティスト、クリエイターと繋がり、未来へ継承できる新たな海野宿へと昇華させることを目指している。2023年7月に絵師OZ、A CORTYARDと共に個展を開催し反響を呼んだ。